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1. 無題

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食事中の方は読まないでくださいMaggie Beauty黑店

 大学生の頃のことです。
 僕と山案山子は、大繁華街として知られている場所の大通りに面したある居酒屋のカウンター席で、酒を酌み交わしておりました。その居酒屋は、今でもはっきり覚えていますが、さる大規模なチェーン店のひとつでした(いろいろな意味で屋号を記す勇気がありません。その理由は以降を読んでいただければわかると思います。)。
 その日、ビールの大ジョッキを口切りとし、僕らは、いつものようにとりとめの無い話題で飲み交わしました。
 最初に、しかし、あとでなんとなくそういえば、と思ったくらいなので、そんなに激しく思ったわけではないですが、ビールの最初の一口を含んだとき、『あれ、あんまりうまくないな・・・。まあ、こういうこともある。最近飲酒が続いたから、胃腸が疲弊しているんだ、きっと。ビールの味って結構体調で左右されるからな。』という感覚が改善脫髮、軽く僕の頭を掠めました。
 なんか微かに『妙な風味』がしたんです。
 構わずいつものように噛み合わない会話も、呑み食いも、進めます。 以前にも書いたけど、人のことは言えませんが山案山子という男はあまり他人の話を聞かずに、ずんずん自分の話を進めます。
 「こないだ、K大学のGっていうサークルと試合したんだけど、」
 「ああ、あそこね、あそこは伝統も実力もある有名なサークルだ。」
 (けど、その話は先週聞いたばっかりだぞ。)
 「それが、全然たいしたことなくてさ、なんとか県代表とかが何人かいるって聞いたんだけど、どこにいるんだよって・・・・」
 「そら、山案山子は体育会なんだから、勝ってあたりまえだろ。」
 (だから、ラグビーサークルの人間を前にしてサークルを馬鹿にするなっちゅうの。適当に相槌しとこ。・・・揚げ出し豆腐、頼もうかなMaggie Beauty黑店 。)
 ・・・とおよそ価値ゼロの話をしていたときです。
 僕は、なんとなく美味くないな、と思いつつも、酒豪山案山子に遅れること数分、最初の大ジョッキを飲み干しました。そして、なんとはなしにジョッキの底に沈殿している泡の残滓にぼうっと目を遣りました。
 「俺さ、その試合さロックで出たんだけどさ、」
 「ふん。」
 (それも聞いたぞ、敵のパックが甘かったんだろ。)
 「ラインアウトのパックが無茶苦茶甘くてさ、」
 「?」
 僕の視線の先、白い泡に一点の小さな黒点が・・・。
 「甘いから敵ボールなんか割り放題でさ、」
 「!」
  あ、これは??まさか・・・。
 「まったく、これで強豪サークルかよって・・」
 俺、このビールを飲み干したっってこと?
 「それでバックスもさあ・・・」
 「おい、これ」
 「ぜ~んぜ~ん、大したことなくてさ、」
 「おい、山案山子、ちょっと、これ」
 「ていうかさ、なんとか県代表とかがバックスにもいるとか聞いてたんだけどさ、」
 「これ、これってさ」
 「そんな奴、どこに・・、へ?」
 さすがに、さしもの山案山子も僕が会話を強引に泡の中に黒点のあるジョッキを彼の眼前に突き出すことで遮ると、しゃべるのをやめます。
 二人して暫し、無言で泡の中の黒点を見つめます。
 僕が言いました。
 「・・・小さいけど・」
 「うん、小さいけど・・」
 と、山案山子。
 「これって・・」
 「あれだよな・・」
 「うん、やっぱりそうかな?」
 「うん、あれだろう・・・飲んじゃったの?」
 「うん飲んじゃった・・」
 そこには、小さいけれど誰がどう見ても紛う事なきあるものが、その形態を毀損することなく保たれて沈殿しておりました。
 ふうむ、『微かに妙な風味』がしたのはこの出汁が出ていたからなのだな。どうせ現れるのなら口をつける前に出てきてくれたらよかったのに。
 とにかく、店員さんを呼ぼう。
 あまりの事態にやや動揺しながら呼びかけると、ひとりの男性店員さんが元気よくやってきました。
 「はい!」
 「あの・・・」
 「あ、おかわりですね!」
 店員さんは空のジョッキを虚空に持つ僕を見て、合点承知とばかりに、最前の元気のまま言いました。いや、そう断言されたら、それもそうだという気がしないわけでもないけど、もっと重要なことが・・。
 「いや、あの・・これ」
 「え?」
 「ここに・・・」
 僕が指差すと、ようやく店員さんは事態を、-ゴキブリが混入したビールを客に飲ませてしまった、という飲食店にあるまじき事態を、-把握したようです。なにしろ、繰り返しますが『小さいけれど誰が見ても紛う事なきゴキブリの死体』なのですから(この稿を書くにあたり改めて記憶と照らし合わせて調べてみましたが、どうも『クロゴキブリの幼生』でした。)。
 ところが、その後の店員さんの直後の対応は全く、僕らが予期しないものでした。
 店員さんはゴキブリを一瞬無言で認知したあと、その元気はまったく失わないまま変わらぬテンションで、やや笑みさえ浮かべて、こう言い放ったのです。
 「ああ、虫ですねっ!」
 まるで、公園でバーベキューをしているときに、端の草むらに飛ぶバッタを見たひとのように。
 え?虫?むし??
 いや、それは虫であることには変わりは無いんだけど、虫は虫でもゴキブリですけど。それに、虫ならいいんですかね?なんか、素直に認めているのか、あるいは他ならぬ『ゴキブリ』が混入したこと、については認めていないのか、わかんないじゃないですか。
 「すみません、でしたああっ!」
 予想だにしなかった店員さんの対応(といっても僕には経験がなかったことですので、-あまり経験がある人もいないかとは思います。-、店員さんがどういう反応を示すのか、ということに具体的な構図があったわけではないですけど。とにかく、あまりのことにただただ驚いていました。)にさらに虚を突かれて唖然とする僕の手から、店員さんは奪うように件のジョッキを持ち去ると、すぐに新しいビールの入ったジョッキを『ビール大ジョッキのおかわり』として持ってきました。
 その直後のことについてはちょっと具体的な記憶が薄いんですけど、・・・・こういう結末でいいの?とふわふわした気持ちで、-なんだってこっちが動揺しなければいけないんですかね。-、僕らはおよそ低いテンションで呑み食いを続けたように思います。
 それから、数分後、いきなり、
 「これは店からのサービスでええす!」
 と一杯のビール大ジョッキが持ってこられました・・・。
 結局、僕と山案山子は、その対応とビール大ジョッキ一杯を(僕の記憶によると、サービスしてくれたのは僕にだけです。山案山子には無かったと思います。)無料にしてもらうことで、その店を後にしたように思います。

 そして、僕は後から思ったんですけど、この店員さんは、ある意味瞬間的に高度な交渉術を発揮して被害を最小限に食い止めることに成功したんだと思います。
 昨今のサラリーマンの好きな言葉でいうと『リスクマネジメント』ですかね。
 つまり、彼はジョッキを見た瞬間『事実を認めないことはできない、これはゴキブリだ、飲食店としては最悪の事態である』と認識したはずです。しかし、そこであえて、爽やかに大きな声で『ああ、虫ですね!』と強引に、事実誤認とは言い難いものの生物学的に大きな集合の名称を叫ぶことで『なんか混入しているのは認めるが、誰もまだその虫の正確な名称は言及していないですよね!まあ、虫ですよね!』と事実認定をうやむやにし、さらに相手に反論の機会を与えることなく、素早くジョッキという『動かぬ証拠』を回収することで議論の蒸し返しを回避し、加えて、無料ジョッキ一杯のサービスで一方的に具体的経済的賠償額決定のイニシアチブを握ってしまった、わけです。
 考えてみたら、僕らは、それがゴキブリかどうか、を『議論するつもり』はなかったし(そんなわけないです。誰が見てもゴキブリなんだから。)、ましてや、事実認定としてそれをまさか『虫呼ばわり』されるなんて想像もしていなかったわけです。また、ただただ、あまりのことに、経済的な面で店側になにか賠償をしてもらうべきか、という具体的なアイデアなど皆無でしたので、そういうことを『交渉するつもり』もまた無かったわけです。それで、あれよあれよという間に、結果としてビール大ジョッキという店側にとっては最小限の損失、-今思えば、このケースの最大のリスクは『ゴキブリ入りビール』が然るべき当局に露見しての営業停止、ですよね。-、で懐柔されちゃったわけです。
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